整体に行ったところ,施術中に腰椎を強く押された。翌日,左足に強いしびれを感じ,歩くのもつらい状態になった。整体の施術が原因だと思うが,どうすればよいか。(他県の消費生活相談窓口での相談事例)
施術後,身体に危害症状が発生し,継続するような場合は,速やかに医療機関で受診し,不調の原因を把握しましょう。身体症状の解消・改善を目的として受けているにもかかわらず,症状が悪化したり,改善されないような場合も同様です。
健康保持や疾病の予防・治療の目的で,マッサージ,指圧,整体,カイロプラクティックなど,施術者の手技による医業類似行為が広く利用されています。
器具を使用しない手技による施術で,日本で行われているものは,①「あん摩マッサージ指圧」や「柔道整復」といった法的な資格制度がある施術と,②法的な資格制度がない施術の2つに大別されます。
①の「あん摩マッサージ指圧」や「柔道整復」は,文部科学大臣の認定した学校または厚生労働大臣の認定した養成施設において3年以上の教育を受け,国家試験に合格した者のみ業として行うことができ,施術所を開設する場合は,所在地の都道府県知事に届け出なければなりません。
一方,②の法的な資格制度がない施術には,医業類似行為とされる,いわゆるカイロプラクティック療法や整体などと,心身の緊張を弛緩させることを目的としたリラクゼーションマッサージなどがあります。医学的観点から人体に危害を及ぼす可能性のある施術は禁止されていますが,その施術内容は事業者によりまちまちで,その施術による事故の発生も少なくありません。
消費者庁によると,法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術で発生した事故の情報が全国で1,483 件※寄せられており,そのうち,治療期間が1か月以上となる神経・脊髄の損傷等の重症事故が 240 件と全体の約 16%を占めています。
(※平成 21 年9月1日から平成 29 年3月末までの登録分)
現在,施術を受けられている方や,これから施術を受けようとお考えの方は,以下の点に注意しましょう。
◆疾病がある方は施術を受ける前に医師に相談しましょう。
◆情報を見極めて施術や施術者を慎重に選びましょう。(施術には有資格のあん摩マッサージ指圧及び柔道整復もあり,あん摩マッサージ指圧の国家資格を持っている人は,資格証などで確認できます。)
◆施術を受ける際は,施術者に自分の体調や希望をしっかりと伝えましょう。
◆施術を受けた後で異常を感じた場合は,すぐに施術を受けた施設や運営者に伝え,なるべく早く医師に相談しましょう。(異常を感じた際,「好転反応」などと言われてそのままにしたり,継続して施術を受けたりすると,症状が悪化する場合があります。施術を一旦中止し,医師に相談しましょう)
◆トラブルの解決が困難な場合は,お近くの消費生活センター等に相談しましょう。あわせて保健所への情報提供も行いましょう。